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漫画「オーバーハング!」最終回が公開されました

 

大変ご無沙汰してます。皆様にはお変わりないでしょうか?

 

本日、三年半の長きにわたって連載を続けて参りました拙作クライミング漫画「オーバーハング!」が最終回を迎えました。

 

漫画のほうでは全くの新人がここまで来られたのも、作品を読んで応援して下さった読者の皆様や、執筆/取材等でご協力頂いた関係者の方々のお陰だと思います。

 

本当に有り難うございました!!!(拝)

 

 

ここからは個人的な、ちょっとした昔話なので、お時間とご興味のある方だけお読み下さい。

 

この作品の構想段階だからもう10年以上前ですが、電車で日本海側から首都圏に戻る旅の途中、上越線との乗り換え駅のホームに停まった電車から、ふとホームのほうを見た時のことです。

 

人気のあまりないホームに、一人の男性クライマーが立っているのが見えました。

 

そのひとは痩せ型で背が高く、ばさばさの長めの黒髪に、むき出しのヘルメットやクライミングロープ、年季が入って色の褪せた登山用の縦長ザックなど…それらが何とも言えない異様なオーラを放っていました。

周りに人気が無いのは、その人の奇妙な迫力におびえて近寄ってこないんじゃないか?と思うくらいに、不思議な人で。

自分の好きな戦争漫画風の用語で言うと、いわゆる(戦場帰りを指して)「血の匂いがする」というタイプでした。

 

既に登山やクライミングの漫画を描きたいとネタを温めていた私は、電車の窓からとりつかれたようにその人を凝視していました。

直感的に、あれは絶対に谷川岳に行く人だ!!と思いました。

命のやり取りをする壁のある山登りの世界の人だと。

 

(同じく一人旅の途中、金谷港から久里浜行きのフェリーの船上で、山マニアで知らぬ者は多分いないというくらいに有名な『風雪のビヴァーク』という本の著者である登山家、松濤明の同級生だったというご老人と偶然知り合った時くらい興奮しました。※実話)

 

車窓越しに向こうがこちらに気づくはずもなく、本当にまじまじと見てしまったのですが(あの時の人、すみませんでした…伏)。

 

何故だか、見ているうちにとても悲しい?ような、不思議な気持ちに駆られたのを覚えています。

 

あの人はこれから、どんな思いで、どこの壁を登りに行くんだろう?

ちゃんと、またこのホームに帰ってくるだろうか?

どうしてあんなに厳しい表情で、孤独そうな雰囲気に見えるんだろう?

装備が色褪せているのは何かブランクがあるとかの理由でもあるんだろうか?

こうして今、壁に向かおうとするあの人を、どこかで待っている人はいるのだろうか?

 

あれから10年以上の時間が経ち。縁あってクライミング漫画を連載するようになった自分がいるわけですが。

あの上越線乗り換え駅のホームでのことを、主人公・弾のお父さんの過去話を描いている時に、ふと思い出していました。

 

そういえばあの孤独なクライマー氏、あれからどうしただろう?と。

目指すルートは登れたのかしら…。

 

 

そして、自分が「いつか漫画で、この人の横顔を見た日に思ったことを描こう」と考えていたのも。

 

 

「これ以外に、(多少なりとも)人より上手く出来ることはないから」というのは、自分の独白でもありました。

見渡せばいくらでも自分より上手い人はいるし、絵や漫画の才能なんて今でもあるのかどうかもわからない。

 

それでも、自分に出来ることがあるのなら、いや自分にしか語れないことがどこかにあるのだと信じて。

これから先も、たった一人でも待っていてくれる人がいるなら、その人のために、創って行くことを続けたいと思います。

 

 

「オーバーハング!」の連載は今回で終わりますが、いずれまた新しい作品で、変わらないメッセージを届けるために、皆様の前に戻って来られるように努力いたします。

それがいつになるか今の時点でハッキリとは言えませんが、その時はまた応援や叱咤激励、どうぞよろしくお願いします!

 

更新のたびに読みに来て下さった方、コメントやハート、ツイート等で応援してくれた方も、本当に有り難うございました!!

苦しいことも多かった連載中でしたが、得難い経験や学びを得られたので、今後に活かして行けるようにします。

何より、作品を通して皆様と出会えたことが自分にとっての最大の財産だろうと思っています。

 

それでは皆々様、またお会いできる日まで、どうぞお元気で。

 

 

 

本橋ユウコ『オーバーハング!』

 

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